一枚の絵
スポンサーリンク
わたしはとある街の
ちいさな公民館のようなところに向かっていた。
その日はどんな日だったかのか忘れてしまったけれど
たしか季節は秋ちかくだったように思う。
制服を着たわたしは一枚の絵をみていた。
それは幼稚園児が描いた絵だった。
四つ切りほどの画用紙に描かれた
大きな鳥はカラフルで美しい羽で空を飛んでいた。
もっと自由でいいんだと言われた。
わたしはそうなんだと思った。
あれから何年か過ぎたけれど
あの絵のことをわたしはこれまで何度も思い出していた。
大切にされていますようにと願いながら
もう二度とみることのできない絵と記憶を
重ねようと今日も試してみたけれど
どうにもうまくいかなかった。