3つのはなし
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◯高校のとき授業を聞かずに
教科書の中のお気に入りの詩を
何度も何度も読んでいた。
本当にうつくしい詩だった。
何を得たのだろうと思うぐらい
いまいち内容の思い出せない本を
何百冊も読んできたし、
何冊も読むのを諦めたりもした。
何組もの恋人たちが別れたり
いくつもの取り返しのつかない過去を見たり
手の届かない街での物語に出会ったり
身近な街やにおいや音を読んできた。
自分の人生にとってかけがえのない本に出会ったり
大切な文章を見つけて何年も頭の中で反芻したり。
寝過ごして授業に遅れたり
興味のわかないことは諦めたり投げ出したりもした。
遠くの街まで出かけて
やっと触れたことを忘れてしまったりするのだって
それはそれでよかった。
逃げ出したりしたことも
諦めたことだっていつもここにあって
それがわたしだった。
◯自分がそうだって思ったことって
きっと自分しかわからないのに
なんでわかって欲しいって思っちゃうのかな。
わかるよって言われても
それはそれで違う気もするし。
言ってみて後悔することもたくさんあったり。
そもそも自分が間違ってたり。
そんなことを何度も繰り返してみても
自分の思い描く大人にもなれないし……。
理想の自分をかたちにしても
きっと長くは続かないし、疲れてしまうだろうし。
◯今日はひさびさに人と街を歩いた。
すこしずつ変わっていくこの街は
なくなっていったものと
新しくなったものたちが
静かに入れ替わり続けていく。
そうゆうものだってわかってる。
歳を重ねていくことに
価値を感じられるように、