可能性について
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わたしから見た彼女は、
彼に手を差し伸べられていて
それを跳ね返すのがいつものふたりの様子だった。
そんな様子を何度か見た後、
ふたりがときおり距離を縮めることは数回あったものの
二度と会うことなく離れ離れになっていくところをわたしは見た。
それからの彼女はいつもひとりきりだったけれど
欲しいものや行きたい場所に向かっていて
それまでより多くのことに興味を持った。
けれど、彼女はなんでもひとりでやるし
なんでもひとりでやりたがった。
ひとりきりでなんて無理だとわかってると言いながら。
わたしにはなんとなく理由が分かった。
何度も差し伸べられてきた手には
彼女がほしいものがひとつもなくて、
これからもきっと変わらないから。
それでもいいんだと何度も言ったけれど、
それは違っていていつも彼女は可能性について考えていた。