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取り戻せない


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お昼ごろ、ひんやりとする風の中に
まばらに雨が混ざる地元の町の
まっすぐ駅に向かう道を原チャで走っていた。



家を出るのが3分ほど遅れたので
いつもより急いでいた。


おろしたての服が雨粒を弾いて風を切っていく。






駅に着いたら傘を買わなくちゃと思いながら
駅に着く頃には雨は止んでいて
どんよりとした雲が何重にも重なっていた。









電車を乗り継いで大学の最寄駅に着いたとき
大学へ向かうスクールバスがちょうど来て
いつものようにドライバーさんに
お願いしますと言って乗り込む。





1番前の席に座って
外をじっと眺めてみる。

曲がり角のところに喫茶店があって
その先にちいさなスーパーがある。



なつかしい道。



しばらく進むと、なんてことないちいさな田舎の町の
ちいさなお店がなくなっていて
けれど、そこには何があったか思い出せなかった。




お昼をすこし回った頃に着いた母校は
なつかしいのだけれど
学生のときの記憶がすこしずつ薄れていっていて
もうここには戻ってこれないことを改めて知る。



知らないことを知ったり
知らなくていいことを知ったり
ここで失ったと思っていたことが
今は大切なものになっていた。


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