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自分のきもち


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帰りの電車でひとりになったとき
輪郭のないぼんやりとしたどこへも行けないきもちを
頭の中でことばにしてみようとしたけれどうまくできなかった。




明確な答えはきちんと出ているのに
なんとか自分の都合のいいように
頭の中で整理をしてみるのにがらがらと崩れていって
またうまくことばにできない。




…なんてことを何度も何度も繰り返していた。
















ひとりきりになってしばらくすると
心が慌ただしく動く自分と冷静な自分が
半分ぐらいになってきて
冷静な自分の割合がどんどん増えていって
いつの間にかわたしは自分を遠くから見ていた。








わたしの気持ちはわたしのもの、
だからこうやってどんな風にいたいかは
自分で選べるのだけれど他人の気持ちは違う。







迷って間違ってどうしようもなくなったとき
わたしを救えるのはわたししかいなかった。



けれど、たとえば他人がどうしようもなく
迷って間違ってやり直せないと言ったとき
わたしには何も出来ないし救えない。




















わたしの気持ちは自分でどうにか出来るけれど
どうにか出来ない他人の気持ちに動かされて
わたしがなにか間違ったり迷ったりするのは
今は違うなと思った。












電車はいつもの小さな駅で止まって
わたしの知らないきもちたちを肌寒い夜に吐き出した。




ひんやりとした空気は
きもちをぴんと張ってくれるからすごく切なくなる。


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